サダチルシア~sadachilucia’s blog

サダチルシア=サダチル(さだまさし+ミスチル)+パコデルシア

巨人の星

正月から、再放送された、日テレG+の「巨人の星」デジタルリマスター版、
全182話が、今朝、午前11時30分をもって終わった。
実際には、週一放送で、3年半だったそうだ。
 
3が日は、連続放送で、土日祝は、まとめて、半日放送の急ぎ足での再放送に、
俺も、膝を痛めて、テニスを休んでいたので、
退屈しのぎには、もてあます程度のテレビ三昧。
 
高校時代からの、花形、左門とのライバル対決から、
巨人入団までは、スピード感はあったが、
その後、大リーグボール1号を産み出すまでの、
プロの世界での挫折から、タレントの女子と、人並みの青春へと、身を投じる。
 
また、野球ロボット オズマから、
お前は、野球しかできない人形だ、俺と同じだ」と、ののしられ、
キャンプでは、薄幸の少女の看護婦との恋に目覚め、
バッティングピッチャーという状態にまで、おちぶれを命じられてまでも、
人間らしい生きざまを、選択した飛雄馬
このあたりからが、タラタラと長~い、3年半もかけて、放送する、
モード変更に入った感じだ。
 
そんな、お茶らけに走った息子を見て、
父 一徹が、心を鬼にして、敵軍コーチ就任を快諾し、
雄馬の最大の敵役を買って出て、野球しかできない不器用な息子を、
奮い立たせようと、覚悟を決める。
 
大リーグボール1号は、見事、父一徹の育てた、伏兵オズマに打ち破られる。
そして、我々、少年時代、小学校の同級生、近所のちびっこらで、
野球ばかりしていた週末、誰もがまねた、消える魔球が、
大リーグボール2号。
 
ワインドアップのとき、ボールをグラブに入れたままにし、
投げたふりをし
「消える魔球だぞ」
なんて、誰もがやったもんだ。
 
その魔球は、飛雄馬の済むマンションの屋上で、
小さな女子が、まりつきをしていたボールを借りて、
雄馬もやってみると、うまくつくことができなかったことが、ヒントに。。。(ちょっと俺は、結びつかなかったな)
 
強引なヒントではあったが、ここから、大リーグボール2号の快進撃で、
番組そのものも、もはや全国で一番人気のあるお茶の間番組となったのではなかろうか。
父子そろって巨人の川上監督時代の栄光の時代に、
並行して、王、長嶋に、そして、V9戦士の一角の柴田、高田、堀内らも、
アニメの中に登場し、くぎ付けとなったことだろう。
 
そんな男の子向け番組真っ盛りで、お母さんは仲間外れ気味で、
「野球のルールすらわかんない」
なんて、ぼやいていた女性も少なからずいただろう。
 
やがて、その大リーグボール2号も、
雄馬の親友 伴宙太により、打ち破れる。
それは、父一徹による、トレードで、
巨人から中日へと、引きぬいて、
徹底的に、飛雄馬の敵となり、わが子を、ビシビシ鍛え抜き、
魔球だけでなく、心まで折れるほど、いじめ抜く徹底ぶりは、圧巻だった。
 
またまた、どん底に落ちた飛雄馬
スポコンのヒーローのわりには、精神面のとても弱いアスリートだ。
 
ヤクザがバックについた、女番長の借金のかたぶをかつぐと、
組長の目の前、
左手をナイフで、抓めようとするする。
 
それを、その女番長が、直前で、ナイフの前に手を出し、
傷を負い、飛雄馬を助ける。
 
ここもまた、一見すると、飛雄馬は、根性あるなという場面のようだが、
冷静にみると、しょせん、指を落とさず、
女の子に救われた、おぼっちゃんだ。
 
やがて、オールスター戦で、移動の新幹線で、
その女番長が、
手に包帯をして、りんごを、左門に投げるとき、
左門が、キャッチできない、リンゴの軌道をヒントに、
大リーグボール3号のヒントに目覚める。
 
アンダースローの超スローボール。
これもまた、俺の少年時代に、苦い思いを刻んだ。
ソフトボール大会で、
ピッチャーをやったとき、
下投げにみたてた、
速球を投げることで、
他のクラスを打ち破り、一躍ヒーローになった。
 
なんでピッチャーかというと、
当時、ピッチャーとは脇役で、
長嶋、王時代に、皆、バッターにあこがれていた。
そこで、運動音痴だった、
俺に、ソフトボールでは、下から、ホームまで、届く、
単に投げるだけでいい、ピッチャーが適任だったんだ。
 
しかし、隣のクラスの担任から、
「おまえのは、アンダースローだ」
とクレームをつけられ、
俺のクラス担任は、
「ちょっと、俺が、受けるから、投げてみろ」
といい、ためしに投げると、
「んー、アンダースローだな、ピッチャー降りろ」
と言われた。
 
実は、そのころ、近所のちびっ子らで、バレーボールしてたとき、
つき指も負っていたんで、
指をかばって、投球する、俺には、苦肉の策だったんだ。
 
俺のクラスは、案の定、それで、敗北をした。
給食の時間、皆の前で、
担任の先生が、
「運動は、決して得意ではない、サダチルが、指をかばって、我慢して投げてくれた。」
と、話してくれた。
 
さあ、本題の大リーグボール3号は、
その発明当初から、
星が、左腕を抑えていたしぐさが、
番組からは、見受けられる。
少年だった俺には、当時、そんなの気づくこともなく、
あのアンダースローへ憧れていたもんだ。
 
やがて、それは、腕の筋肉酷使という、
とんでもない、身の破滅というおまけ付きの、
投法であることが、解明され、
快進撃が続く、巨人の勝利と裏腹に、
雄馬の表情は暗く、
その投球する姿の背景は、
いつも、薄暗い血の気のない死後の世界のようなスタジアムのバックを、
アニメでは、オーバーラップさせていたことも、
今なら、うなずける手法だ。
 
そして、長~い3年半のクライマックスは、
パーフェクトゲームで、占め括り、
雄馬のその腕は、ガラスのように砕け、
父、一徹が、背に息子を背負い、
グランドから姿を消していく。
 
一生懸命、打ちこんで、手に入れた、勝利、栄光も、
身の破滅をしては、何もならない。
 
このスポコンアニメ、今となっては、
何だか、ただの、不器用な男が、
破滅へ向かうまでの歩みを描いたにすぎないようにさえ思えてくる。
 
しかし、その一方で、根性や栄光を手にする、その行く末を恐れて、
逃げ腰で、中途半端な気持ちで、仕事をしているほうが利口ではあるが、
日本の弱体化も、それが、蔓延してしまい、
落ちぶれていったようにも思えてくる。
 
今、何をしても結果の出ない世の中。
せめて、一生懸命さだけでもあればいいのだが。