Ah 雨のサタデーだね。
前から気になっていたアーチスト、
盲目のシンガー。
「別れのサンバ」が有名だ。
18, 19才で、銀巴里なる店で、ナイロンギター片手に唄い始め、
あるコンテストでは、4位だったそうだが、
プロデビューに至ったそうだ。
そのファーストシングルが、
「別れのサンバ」。
ある意味では、早咲きのアーチスト。
サダチルの自宅からほど近い、
浅草公会堂へ初登場というこで、
ぶらり、雨の中、歩いて行ってみた。
開演すると、
スタッフに手を引かれ、
ステージ中央の椅子に、腰かけた。
1曲目は、ツアータイトル「人生という名の旅」という曲でスタート。
残りの人生の時間を歌った、現実味ある歌詞だった。
3曲目には、早くも、往年のヒット曲
「別れのサンバ」
サポートで、日本に30年も暮らしているというフランス人のマルチプレーヤーを迎え、
フリューゲルホルンの音色が加わり、
いい感じだった。
次の曲あたりで、
新たな試みで、トライしたキーが、フリューゲルホルンとうまく行かず、途中で止まってしまった。
フリューゲルホルンは、半音、ギターよりも低いらしく、
その調整で、今回は、いつもと違うキーで、
やってみようと、試みたという。
このあたりは、長谷川きよしの、お愛嬌なのだろうか、
会場が和み始めた。
50分ぐらいの演奏で、第一部終了。
第一部の最終曲は、
「涙」という、海外アーチストの曲を和訳した
とてもいい曲だった。
思わず、休憩時間に、その収録曲のCDを購入したほどの曲だった。
第2部が始まった。
1,2曲演奏されてからだろうか、
MCで、
B Sフジで、ギタリストとして、3年以上勤めた番組が、
最近、終了したそうだ。
本人はシンガーなのだが、
番組の進行役、堺正章から、
ギタリストとして依頼され、
渡辺香津美と1週間交代で、出演し、
ゲストの希望曲の演奏をしたという。
そのゲストが、
女優 有森也実
のときのリクエスト
「The Rose」
ロックシンガー、ジャニス・ジョプリンをモデルに描いた映画の主題歌を、主演のベッド・ミドラーが、自ら歌った曲。
長谷川きよしが、椅子の脇に置いてあった、
紙を取り出した。
そして、指先で、その紙の点字をたどりながら、
「The Rose」の
和訳を読み上げた。
「愛は飢えだと人は言う」
という、1行の詩に俺は、惹かれた。
そして、長谷川きよしの演奏は、
英語で、歌った。
作詞・作曲 アマンダ・マクブルーム
この動画にある歌詞のように
some say love it is ariver
some say love it is razer
some say love it is a hanger
some say love it is razer
some say love it is a hanger
という、繰り返されながらの、フレーズがともていい。
この日のコンサートのクライマックスと言っていいだろう。
コンサート終了後、
ロビーで、CD購入者は、長谷川きよしと握手とサイン入り色紙の提供があった。
CD2枚買ったので、色紙も、3バージョン用意されていて、
そのうちの2枚もらえて、
長谷川きよしと、握手した!ぜ!
盲目の長谷川自ら、渾身の思いで、書いた色紙なのかもしれない。
俺より字は綺麗だ!
「別れのサンバ」
しか知っている曲はなかったにも関わらず、
すーっと、入り込めた世界だった。
どの曲も聴いていて、心地よい。
浅草公会堂のエントランスを出て、右には、
スターの手形が、地面に埋め込まれたエリアがある。
これは、ビートたけし。
まるで、ハリウッドのようだね。
帰り道、伝法院通りをゆっくり、雨の中、歩く自分がいた。
端的に、用事だけを済ませ、せわしない毎日。
こうして、ゆっくり、辺りを見回しながら、散策する自分なんて、
ここ何年もなかっただろう。
心が、荒んでいると、
何気ない、たわいのない、出店にすら目をむけなくなってしまい、
要件だけを済ませるようになっているような気がするね。
どうでもいいような、
スターの手形のエリアへ、スマホのシャッターを切ったり、
観光客が行列している、浅草メンチの軒まで、行ってみたり、
今日の帰り道は、雨の中、傘さして、
少し、足を止める自分が居た。
世代的には、70年代フォークの頃だが、
フランスのシャンソンをモチーフにした、
今まで、自分の感覚にはなじまないと思っていたが、
ライブに足を運んで、
身近なものを感じた。
「The Rose」の歌詞の一部にあるように、
愛は飢えなのかもしれない。
荒んだ心の人は、いつも、
世の中の全ては、悪に見えて、
何をしても満たされないのかもしれない。
今日は、たわいもないものにも、惹かれるほどの、
心の落ち着きを悟った。