サダチルシア~sadachilucia’s blog

サダチルシア=サダチル(さだまさし+ミスチル)+パコデルシア

全豪テニス 男子決勝を振り返る

テレビにくぎ付けになったのも、久々だ。
 
先週のテニス 全豪男子決勝 ナダル VS ワウリンカ
は、見応え十分、意外性、など、感想は、賛否ありそうだ。
 
つまり、そういう、混沌としたゲームこそ、面白いのである。
圧勝する場面は面白くない。
 
では、解説しようではないか。
 
ラファエル・ナダルは、その時点で、ATP世界ランクNo.1の選手。
スタニラス・ワウリンカは、8位の選手。
両者の戦績は、ナダルの圧倒的勝利で、ワウリンカは一度も勝てていないどころか、
1セットたりともとれていないのだ。
 
ただ、ワウリンカ自体は、この2年ぐらい、同じスイスのフェデラーと肩を並べて、
4大大会、マスターズ1000,  やその下のマスターズ500 あたりでも、
いい成績を残していた。
 
私が注目していたのは、
[メリット]
・ワウリンカのシングルハンドのバックハンドストロークは、フェデラーよりも数段安定して攻撃的である。つまり、近年、男子テニスも、両手バックハンドスタイルが、多い中、世界で一番美しいバックと全盛期に言われたフェデラーも今では、ダウンザラインのバックのエースは見ることもなくなっている状況で、ワウリンカは、うわまわっている
サービスエースが脅威である。フェデラーも全盛期は、いいところで、サービスエースで、凌いだ場面があったが、もともと、ノータッチエースのとれるサーブを主体とした選手ではないのに、比べ、ワウリンカは、80年代テニスのビッグサーバー時代の選手並みである。
[デメリット]
・ビッグタイトルを持っていない
・人気が今一つ
とまあ、テニスの実力そのものよりも、かけているのは、ネームバリューのようなもので、ナダルほどのオーラが、大きな会場で、ゲームのときに、観衆に伝わりにくいのである。
 
そして、先週のその4大大会の皮きりの全豪の始まりだ。
[戦術分析]
・ワウリンカは、サーブのナダルのバックに入れ、スライスでリターンしてきたボールを、ネットにつめて、バックボレーで、アングルへ決める
・ファーストサービスの確率が、30%代にもかかわらず、ラリーからの展開で、フットワークを生かし、食い下がり、最終的に、ポイントはワウリンカ。これは、ナダルVSフェデラー戦では、ナダルが、最終ポイントをとるという場面のようなものだ。
ナダルのコーナーへ切れていくサーブをかっちり、ワウリンカはバックハンドにも関わらず、リターンエースが、とれいてた。これは、対フェデラーでは、まず、フェデラーが、このようなリターンが、全盛期以降、ポイントになっていないのが、ここ2,3年、フェデラーが、ナダルにカモにされている要因でもある。
 
[ナダルの調子]
ナダルは、指を、フェデラー戦のときから、かなりマメだので、テーピングだらけになっていた。
・第一セットで、ワウリンカに、早くも、サービスダウンをした。
このあたりが、ナダルが、不調ではないかという可能性はある。
さらに、
・第2セットで、なんとなく通用しないワウリンカへのいら立ちのせいか、スピンサーブの跳ねる打球を打ち込んだ。
この後、ナダルは、顔をしかめたのを、俺は見逃していない。
つまり、2年前のウィンブルドン以来、膝を痛め、出てこなかったナダルは、復帰後、サービスエースの数が増えている。しかも、センターへのスライス系のサーブである。これで、右利きの選手のジュースサイドでのポイントはかなり稼いでいただろう。
しかし、今回のワウリンカは、確実にその手口を研究し、バックハンドでのサービスリターン力を上げて、しかもエース級の返球をしていたのだ。それ故、ナダルは、スピンサーブを試みたのだろうと、俺は推測する。それが、命とりだったのだ。
 
ここ数年、多くのタイトルをとったジョコビッチを、準決勝で、ワウリンカは、打ち破り、ナダルはそのジョコビッチには分が悪かった。ナダルにとっては、ラッキーなはずだったのに。
まさに、ワウリンカは、ジョコを破った、その自身も大きかったことだろう。
相撲でいう、大金星を2つ上げての優勝だ。
 
今後は、人気だけだろう。
エンターテイメント性がないと、
テニスは、人が集まらない。
仮に、さほど強くない選手でも、
プレーが魅力的なだけでも、ファンはつくスポーツなのだ。
 
今、俺は、肩や膝の痛みで、
テニスは休んだほうがいい状況だが、
へたなドラマより、
今回の、全豪テニス男子決勝は、
勇者ナダルが、ブーイングを受ける場面もあったり、
同国のフェデラーという王者の陰に隠れて、
脚光を浴びなかった、ぱっとしない男が、
大金星2つもあげて、世界を制したという、
見応えあるファイナルだった。