辺りは、薄暗かったが、電灯らしきものは、点いてない時間帯だったようだ。
会社帰りに、一杯と思い、
「こんなとこに飲み屋あったっけ?」と、
思い、ちょっと覗いてみたけど、気に食わねえ奴がいたから、
通り過ぎたが、
また、舞い戻って、結局、暖簾をくぐった。
カウンター席だけの部屋と、座敷の部屋に、区切られていた。
気に食わねえ奴は、カウンタで飲んでいたんで、
座敷へいった。
しばし、飲んでいると、
気に食わねえ奴が、
「おっ、サダチル」と、ジョッキをもって、
座敷へ入り込んできた。
やがて、中学時代の同級生たちも、入店してきて、
いつの間にか、俺のいた座敷は、
大勢の客になり、賑やかになった。
同級生たちは、以前にも増して老け込み、
白髪が増え、
顔もしわが、増えたようだ。
俺の隣には、酒を飲めない部下が居て、帰りたそうだったんで、
マスターに、
「お勘定」というと、
「待ってよ、今、忙しいんだから、勘弁して」と、
キツイ言葉を返された。
見覚えのないマスターの顔には、
左の眼の脇から頬にかけて、青いアザがある、
醜い男だった。
その隣には、助手らしき男で、
黒いメガネをかけ、輪郭はボケていたが、
性格は意地悪そうな目つきをしていた。
やむなく、もう少し居ようと、部下とともに、
座敷で過ごし、マスターの手が空くタイミングを、
見計らっていた。
もう一度、
「そろそろいい?」と、会計を要求してみた。
すると、マスターは、
「せっかく、中学の同級生集まったんだし、うちの方針は、
朝まで、ゆっくりしていってなんだよ」
と、ありがたいようで、帰りたい人には、最もありがたくない、
経営方針だった。
あきらめて、朝までいることにした。
夜が明けて、朝日が射してくると、
マスターは手を休めて、
「さあ、みんなで、さっさと、飲み食いしたものは、カウンターへ戻し、
椅子をテーブルの上にのせて、帰ってくれ!」
と声を高らげた。
「つまり、こういうこと、後片付けやってほしいから、朝までいろって、方針なんだ」
と、本当に、どうしようもない店にはいっちまったもんだ、
まるで、人質に囚われていたようなもんじゃねえか。
ようやく、解放され、
そのせいか、
体をほぐしたくなり、
ライザップへ行った。
朝から、フィットネスってのもどうかと思ったが、
結果にコミットすることにした。
フィットネススタジオのすぐ隣は、
電車の駅が隣接していて、
大きな、発車のベルが鳴り響いた!
はっ、もしや
時計を見ると8時18分
ヤバ
やっちまった~
と、そそくさと、身支度をして、
しかも、雨が強め。
チャリじゃ無理なんで、
タクシーへ駆け込んだ、
とさ。。。
腕のいい運ちゃんで、
消費増税による値上げ後、
2番目の安さで、到着!
めでたし、めでたし。