いい天気の土曜日。
自転車で、どこまでいけるか、やってみた。
サダチルの住む、浅草近辺からは、せいぜい、上野までしか、
自転車では、行ったときはない。
でも、歩いて、上野から、秋葉原ぐらいは、何度か、行ったし、
アキバから、御茶ノ水なんて、坂を上ればすぐだ。
そこから、学生時代は、毎日のように、小川町のほうまで、
ギター、テニス、ショップへ暇つぶししたものだ。
電動自転車が、壊れて、今は、ノンパンクタイアの自転車だから、
パンクの心配はない。
あっという間に、上野までたどりつき、
鳥越のおかず横丁なる場所が、目についたんで、
とおりぬけてみた。
なんだか、チャーシュの店が、少し、にぎわっていた。
500メートルもない程度の、その商店街を抜けて、
左へ曲がると、もう、三井記念病院だかの建物があった。
昔、大学出て、すぐ、証券営業の職につき、台東区をテリトリーになり、
がんがん、営業した地域だったんだ、と、記憶がよみがえった。
そこから、少し、走ると、
もうほとんど秋葉原。
何やら、移動ワゴンで、営業する弁当屋だのが、
停車していた。
肉の万世も、移動ワゴンで、かつサンドだのを販売していた。
そこからすぐ先の大通りを右折すると、
もう靖国通りのようで、
あっと言う間に、小川町へ。
そして、Victoriaスポーツで、テニスラケットを物色。
値段が、高~い
やはり、上野近辺のが安いや。
アートスポーツは、倒産しちまったんで、
このように、
テニス用品ジプシー、
きっといることだろう。
そんなんで、VIctoriaを後にして、
御徒町へ向かった。
途中、懐かしの、
宮地楽器のウィンドウの前で、
自転車を休めた。
リッケンバッカー、カールヘフナー
と、ビートルズの楽器が並んでいた。
大学時代は、ここで、スタジオ借りて、
セッションしたもんだ。
そこから、秋葉へ向かうと、
またしても、肉の万世が、
新たな展開をしているではないか。
立ち飲みやをやっているようだった。
以前の俺なら、ぶらり、立ち寄っただろうけど、
俺は、もう、ほとんど酒は飲まない。
そんなんで、御徒町へ自転車を走らせた。
目的は、ウィンザー・ラケット・ショップ。
アートスポーツが倒産しちまったんで、
もう、ここしかないだろうという店だ。
今、男子テニス界で、注目度NO.1と言っていい、
ドミニク・ティエムという選手の使用するラケットが、
欲しくて、結局、ここで、買う決意をした。
フランスのラケットに張るガットメーカーの老舗が、
20年前から、ラケットを製造、販売するようになり、
今では、トッププレーヤーから、アマチュアまで、
多くのユーザーがいる。
この白いフレームが、実は、今、
テニスの世界では、数少ないカラーなんだ。
昔は、
テニス=白
みたいな時代だったのにね。
ストリング・マシーンに乗せて、自分で、張るのが、俺の夢だった。
今じゃ、その張り方、伝授してくれた、大阪の師匠の店も倒産しちまった。
師匠は、日本でも数少ない、MRTというラケットサービスの称号を、
有する人だった。
かくして、日本の錦織圭なる若武者の活躍とは、裏腹に、
テニス商業事情は、かなり、日本では、厳しいマーケットとなっている。
多分、量販店よりも、自営でやっているテニスショップのほうが、
生き残っていると思われる。
こうして、週末、趣味の世界で、
自転車で、ぶらり、回ってくるだけで、
世の中の営みの一部が、見えてくる。
昔、肉の万世で、ハンバーグだのステーキだの、
会社帰りに、食ったもんだ。
今じゃ、ワゴンで、移動販売まで、
炎天下で、無名のカレー料理の外国人の人らと、
凌ぎをけずっている。
Victoriaスポーツは、やや値段は割高ではあるが、
経営は続いていた。
俺が、バイトしていた店もそうだし、
あの界隈の、いくつかのスポーツ用品店は倒産したのにね。
かくして、車で、目的のポイントだけ、
移動するよりも、
自転車で、あちこち、眺めて、
気になるポイントをチェックすると、
世の中のいろんな変化に気が付くものだ。
そして、何一つ、変わらないのは、
俺の心の中は、いつまでも、
高校時代の自由闊達に生きていた、あの頃のまま。