今まで、なんで、このアーチストを見に行かなかったのか
サダチルの母校、都立上野高校のOBでもあり、
小学5年生のとき、フォークソングやギターをかじるやいなや、
譜面集を買うと、この人の作詞作曲した曲は、大概、掲載されていたのに。
このCDジャケット「遠ざかる風景」は、
忘れもしない、サダチル小学6年生の秋、1976年10月、
NHKホールで、銀行員が、ビジネススーツのまま、
椅子に腰かけて、フォークソングを歌うコンサートのアルバム。
当時、流行ってた、「シクラメンのかほり」を、いつ唄うのかと、
その映像は、録画だったか、生中継だったか覚えていないが、
テレビにかじりついていたのを覚えている。
このCDでは、アンコールで、
小椋佳が、
「僕もムラっ気があるので、アンコールどうしようか考えていました。
最近の若い人はみな、ギターを弾くので、僕なんかが弾くのは見っともないんですけど、
これが本当の小椋佳なんです、という歌を、歌います。」
と語る。
どうやら、母親に捧げた曲のようで、
「母に三度、さよならを言ったような気がします。
5年前にお袋を亡くしたとき、
8年前に結婚をしたとき、
13か14のとき、家出をする少年がその母親に捧げる歌です」
その曲は、
「木戸をあけて~家出をする少年がその母親に捧げる歌~」
そして、先日の、1月5日、渋谷オーチャードホールで、
初めて見ることになった、小椋佳のデビュ―50周年のライブの幕開けは、
この「木戸をあけて」で始まった。
思えば、27年ぐらい前か。
結婚式の前日、明日よろしく、と、最後の実家での団欒を終えて、
長年育った家を後にし、新居となる家へ向かい、駅へと歩きだした。
信号待ちしていると、オフクロが、走って追いかけてきた。
「お前、財布、忘れて行ったよ」
と、こんなこと、生まれてこの方、一度もなかったのに、
この日に限って、俺は、財布を忘れて、
独身最後の家を後にしていたのだった。
心配そうに見送るオフクロの顔が、その十数年後の俺を、予感していたのかもしれない。
小椋佳のコンサートが、そんな母に捧げる曲「木戸をあけて」に始まり、
無事、1曲を唄い終えると、
その後も、2曲続けて、母にまつわる歌が演奏された。
「木戸をあけて」に引けを取らないぐらい、
とても、印象に残ったので、
この曲をご紹介したく思います。
「甘いオムレツ」
作詞:小椋佳
作曲:小椋佳