テニスは、スポーツだが、ラケット選びという
楽しみがある。
サダチルも、ワイン好きが、銘酒を選ぶからのごとく、
世界のトッププレーヤのモデルを買いあさるのが、好きだった。
つまり、競技志向にならなくても、テニスは楽しい。
ワイン愛好家も、ソムリエとかいう人のオススメにこだわらなくても、
自分で、自宅に小型ワインセラーでも持って、
好きなワインを毎日、楽しむのもいいだろう。
そんな中で、テニス道具の登竜門的なところで、
御徒町の、Art Sport(アートスポーツ)本店が、
このたび、移転をした。支店は、渋谷にもあり、
若いスポーツ愛好家が、テニスのみならず、
ランニング、水泳など、いろんなスポーツアイテムの揃う老舗の、
スポーツショップ。
その本店は、馴染みの、上野松坂屋店のすぐ近く、御徒町のあたりに店構えをしていた。
5Fまでのフロアに、
1Fのジョギングコーナーから、いろんなスポーツグッズを扱っていた。
しかし、この不況の荒波に勝てずに、
先日、松坂屋の裏手の新築ビルに、移転後、オープンキャンペーンで、
偶然、サダチル愛用のテニスラケットが、
なんと、2800円で、特売と。
テニスラケットは、定価、29000円から34000円ぐらいする。
つまり、10分の1の値段なので、足を運んだ。
しかし、時は遅し。
売り切れていた。
それよりも、残念なことが、起きていた。
1F~5Fまでのところ狭しと品揃えしていた、前ビルでの営業と違って、
たかが、2フロアの店舗で、
1Fは、ランニング系、
2Fは、テニス系にまで
絞り込んで、
下町っぽい、おっちゃんが、
サダチルの足にフィットするシューズに一所懸命な姿だった、
あの雰囲気はもうなかった。
支配人らしき男(あたかも、乗っ取りをしたような奴)が、
「今日は、9時ごろ出社しましたが、すでに、お並び頂けたお客様もいました」
なんて、台詞をいいながら、整理券を配り、
混雑する、狭い2フロアで、目当てはテニス品しかないから、
1Fが、がら空き。
「1Fは、待ち時間なしで、お会計できます。ご利用ください。」と。
サダチル、真っ先に行ってみると、
若い女店員が、相手になり、
テニスラケットに張るガット(ストリング)、ギターでいう弦だね、これを、
「4200円」と言われ、びっくり。
テニスのストリングなんて、1600円から、2300円が相場。
確かに、ナチュラルガットという、ストリングとは一線を画くにする、
所謂、牛の腸で作られたものは、1万円を覚悟。
貧乏なサダチルは、基本線、1000円代のものしか買わない。
なのに、レジの娘は、
4200円とノタマウ。
サダチル「さっき、店員に聞いてきたけど、、1754円だよ」
店員「聞いてみますね」と電話を2Fのテニスフロアへつなぎ、
「今、お客様から、千いくらだとかって、テニスのストリング代言われたんですけど」
全く、じれったい女だ。可愛いけどね。
そうこうしてると、若い男の店員が、
男店員「私が代わって相手します。今、計算します」
男店員「「お客様は、ストリング代だけで、張り代(すなわち、テニスは、ストリングを張るのが難しいから、張り代金がそういうみなのだ)は、いらないということですね?」
と、どうにか、話が通じた。
そう、サダチルは、テニスラケットのストリングは、自分で張る能力がある。
それは、大阪にいる、米国ストリンガーズ協会認定ストリンガーより、指導を受けて、
自分で、世界共通のテニスストリングの張り方を伝授してもらったからだ。
つまり、ワインソムリエみたいなもの。
そんなんで、テニスの試合の日は、いつも、自分で、ストリングを張り替えて、
試合へと挑むのじゃ。
そういうわけで、大変、残念だが、
あの御徒町の老舗テニスショップ「アート・スポーツ」は、
もう、別の何者かに乗っ取られ、
わけのわからん女店員に、煩わされるような、
最低の店になった。
あー、世も末だね。