ビートルズ関連の書籍では、RickenBackerとは別に、
イクイップメントとして紹介されていたが、
手に届いたのは、1万5000円のフォークギター。
その後、ラジオで流れる、「22才の別れ」を聴いて、虜になっていった。
弾き語りの本を買ってきて、とことん、アルペジオの練習をしたが、
初めて弾けた曲は「ふれあい」
やがて、フォークは陰りを見せ、ビリー・ジョエル、ロッド・スチュアートら、外国のアーチストが、
武道館で、若者を魅了していた。
俺は、「風」を解散した後も、伊勢正三を追い続けた。
一年の休養を経て、武道館のソロコンサートは忘れもしない。
そのころ、純和風に染まっていたそうで、
セッタにダブダブのズボンで、出てきて、風時代後期から、真っ黒のサングラスをしていた、正やん。
俺もマネして、どこかの学園祭で、買ってきたら、
おふくろに「おまえ、まさかそれ履いて、学校行くんじゃないんだろ」と言われた。
自分では、そんなに変だと思わなかったが、やっぱり、そんなの履いて学校には行けないぜ。
そして、グラサンは当時、太陽の光によって、色が変わるのが流行していたので、
メガネショップへ、値段を見にいき、7000円ぐらいだったのを、高校生にしては、
高価な買い物だが、次の日、金を用意し、腹くくって買いにいった。
すると、店主が、
「これは、光の加減で、色が変わるヤツですね、4000円でいいよ」
と負けてくれた。
帰宅後、オフクロにその話をすると、
「お前は、そういうのは、顔がいいんだな」と、言われた。
かくして、31年間もの間、伊勢正三という、シンガー・ソング・ライターを、追いかけてきた。
7年ぐらいの長いブランクから、復活をした「ほんの短い夏」の収録された、アルバムから、
やはり、今回も4曲演奏された。
その後は、あまり、長期間休むこともなく、身近にライブを見れるようになった。
正やんの、バースデーライブを、どうにか見ることができた。
不必要に、ファンサービスもしない、地味な人柄。
アンコールの最後の曲は、風時代からも最後に歌う曲だった「お前だけが」で、
「お前のやさしい笑顔が~ そこに~ あればそれでいいのさ~」
のサビを、
右手を高々と上げて、六本木の夜景が、ステージ後方のガラスの向こうに映るバックで、
フォークシンガーとして、ようやく、一皮むけたかのような、フィナーレだった。
帰り道、どこか、これで、俺の青春も幕を閉じるような思いがヨギッタ。
ギター、スポーツ、やり残してきたたくさんのもの。
打ち込むものが見つからず、燃焼できなかった学生時代。
社会人になって、気がつけば、ただの仕事バカ。
そんな切なさも、いつも正やんという、シンガーソングライターと、共に、
乗り越えてきたのかもしれない。
今日は、夜中に、空から、♪ メロディーが降ってきた。
こういうときは、寝る時間を惜しまず、とことん、録音する。
俺は歌を作ろうとしてもできないから、降ってきたときに、録音する主義。
点けっぱなしのレコーディングマシーンに、歌を吹き込んだ。
Martin D-28が、音源としてほしいな。
チェットアトキンスのGretchで、チャチャっという感じが、ほしいな。
昨日の帰り道の思いはもうほど遠く、
また、次の悪態オヤジの青春が始まっていた。