東白鬚の桜はもう散って、テニスコートの隅に、落ちていた。
この街に移りすんで、これほど、さくらと無縁の年は初めてだ。
どんな春も、桜が咲いて、出店があって、
皆で、テニスの後、酒、つまみ、買いだししていたが、
とうとう途切れてしまった。
今月はコートの確保と桜が咲く時期が合わなかった。
偶然だけど、
レイチェル・カーソン氏の「沈黙の春」が、テニスに行く前に放映されていた。
DDTという農薬が、人体に影響を及ぼすことを、著書にまためたのが、
「沈黙の春」だったそうだ。
元々、開発者は、ジャガイモの虫だけをとるものだったのに、
いろんなところに、使われて、
鵜の口ばしが変形して、生まれてきたという。
そして、PCB。
これは、俺も、小さい頃、耳にしたもんだ。
「おまえ、PCB」なんて、ニュース見た子供たちは、
次の日学校で、そんなことを言ったもんだ。
平和に、春が訪れて、
桜が当たり前のように咲くなんてことも、
自然界の偶然。
原発だけが、人類を脅かすのではなく、
こうした、化学物質は、必ず、
自然界の生き物に悪影響を与えているはずだ。
洗剤で手が荒れることだって、
軽視するものではない。
明らかに、皮膚が、化学物質で、侵された事実なのだ。
放射能だけではない。
それ以外の化学物質も、
自然に逆らい、作業の発達、経済の成長に役立つかもしれないが、
やがては、人類の生命そのものを、脅かすだろう。
経済成長鈍化の状態は、
ある意味、自然界からの警告。
「このままでは、人類が滅びる選択をしている」
と。