サダチルシア~sadachilucia’s blog

サダチルシア=サダチル(さだまさし+ミスチル)+パコデルシア

カレーにはおでんが合う

あれからもう一年も経つのか。
 
高校2年の時だったか、
セーラー服と機関銃」という映画で、
主演の薬師丸ひろ子は、俺と同じ年で、
女優として、若くして、成功し、
その主題歌まで、本人が歌うというスタイルで、
席巻していた時代。
 
その主題歌の作者が、来生たかお
だった。
それ以前から、三浦友和のアルバムの挿入歌の提供をしていた。
 
シンガーソングライターとしては評価を得ていたが、
所属していたレコード会社の井上陽水小椋佳のようなヒットがなかった。
 
歌舞伎の松本幸四郎、歌手の大橋純子中森明菜、しばたはつみ、
数えたらきりがないほど楽曲提供をしている存在だったんだ。
 
ようやく、日の目を見たのは、
Good Bye Day」だろう。
なんかの刑事ドラマのエンディングだったのを覚えている。
 
この曲に関しては、誰も、カヴァーもできまい。
来生たかお、本人の歌となったのは間違いない。
 
そして、昨年と同じ7月の第一土曜日、
来生のソロライブを初めてみた。
 
歌声もMCも同じようなキーで、メリハリがないようだが、
ピアノ1台で、本人1人で、2時間近く演奏するのは大したもんだ。
 
フォーク系のアーチストだと、途中ゲスト呼んだり、
バックのバンドとにぎやかにやったり、本人だけの弾き語りだけだったたりと、
1ステージの間に、いろいろバリエーションを変えてくるのにね。
 
今年は行かないつもりだったが、
いつの間にか、行きたい気持ちになっていた。
それが、来生ワールドなのかもしれない。
 
派手なパフォーマンスもなく、自負しすぎることもなく、
ただひたすら、ピアノに向い、
マッタリ歌うスタイルが、
日本橋で大人たちの週末のちょっとした演出になるのだろう。
 
俺も、つい、三越のデパ地下で、
買い物をしちまった。
 
景気は悪くても、こうした、
少しばかりの贅沢感を、年に一度ぐらい、浸るのもいいだろう。
 
近くの登り亭の鰻屋は、2年前に閉店したようだ。
乱獲問題で、うなぎ市場も厳しいようだ。
 
しかし、そんなわりと品格のあるピアノ弾き語りストは、
ただのサラリーマン家庭だったという。
 
ピアノを始めたのは20歳だったそうだ。
小さい頃、ひばりが丘団地に住んでいたころ、
屋台で売りに来るおでん屋へ、作詞家でもある姉の来生えつこと買い食いした頃の話から、
所帯を持った先の奥さんの家で、
カレーとおでんという組み合わせに見事舌がマッチしてしまい、いまだに、はまっているという。
 
なんとも、三越のデパ地下なんかでは、
米沢牛松阪牛、今半の肉屋、
魚は、近大マグロと、
そんなラインナップで、
どれも2500円~3000円出さないと、手が届かん。
 
売りに来るおでん屋の数十円の種物を話す来生とはミスマッチの街ではあるが、
梅雨から夏への扉を開けようかというこのうっとおしい季節に、
マッタリした来生の歌声が、とても心地よく、
マッチしていたようだである。